
生成画像(Generated image)
生成画像です。実在する店ではなく、この店の店内でもありません。写っている瓶はどれも実在する造り手のものではなく、棚の十二本とも一本も重なりません。ラベルは一枚も読めません ── つまりこの写真は、どの一本に年が書けて、どの一本に書けないのかを、何も言っていません。それから手前にワインの注がれたグラスが写っていますが、この店では注げません(飲食店営業許可がないので、店内で飲んでいただくことはできません)。人は写っていません。生成された顔を、この店の誰かとして借りるわけにいかないからです。
新宿区荒木町、坂の途中のワイン屋です。棚は十二本で、そのうち四本には収穫年が書いてありません。品切れでも、うちが調べていないのでもありません ── 収穫年をラベルに書けるのは「日本ワイン」だけだと、国税庁の告示で決まっているからです。輸入した濃縮果汁や輸入ワインを使って国内で造ったものは、年も品種も産地も書けません。四本のうち三本はそれで、残る一本は、造り手が年を作っていないからです。どの一本に年が書けて、どの一本に書けないのか。そして古い一本がいまどれだけ減っているのかを、お店に来る前に読めるようにしてあります。
- 二十歳未満の方には販売しません
- 年齢確認は全員に伺います
- 発送はしていません(店頭のみ)
- 店内でお飲みいただくことはできません
- 日曜・月曜定休
由目減り(めべり)は、古い瓶の中身が少しずつ減っていくことです。コルクは木なので、二十年も経てば空気が通り、液面が肩のあたりまで下がります。古いワインを置く店が看板にする言葉ではないと言われますが、この店で売っているものの半分は時間なので、時間がしていることを名前にしました。ただし「減ったぶんだけ味が落ちる」とは書きません。減っていることは見れば分かりますが、落ちているかどうかは開けるまで誰にも分からないからです。
Three kinds of label
ラベルに何を書けるかは、この三つで決まります。味でも値段でもありません。
日本ワイン
棚に5本
国内のぶどうだけ、国内で製造
収穫年・品種名・産地名を書けます
ただし条件つき ── 収穫年は同じ年のぶどうを85%以上、品種名もその品種を85%以上。産地名はさらに、その地域で醸造していること。
国内製造ワイン
棚に3本
輸入した濃縮果汁や輸入ワインを使って国内で製造
収穫年・品種名・産地名は書けません
代わりに、表のラベルに「濃縮果汁使用」「輸入ワイン使用」と書く義務があります。
輸入ワイン
棚に4本
外国で造られ、瓶のまま入ってきたもの
原産国の規則で書かれています
日本の告示がかかるのは国内で造ったものなので、この棚の年の古い二本は、この列にいます。
The year
年
としでひく
年を押すと、その一本が出ます。押せる年は八つしかありません ── 棚は十二本あるのに、四本は年で引けないからです。引けない四本は、消さずに右側へ同じ大きさで残してあります。理由は二つあって、同じではありません。
1998年の一本
シャトー・ド・ラ・ピエール・グリーズ
Château de la Pierre Grise/ピエール・グリーズ/フランス・ボルドー
- 収穫年
- 1998
- 区分
- 輸入ワイン
- 品種
- メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン
- 産地名
- ボルドー
- 度数
- 12.5%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥19,800
地名について:輸入ワインなので、この告示ではなく原産国の規則で書かれています。日本の基準がかかるのは、国内で造ったものです。
二十八年前の一本で、液面は肩の上まで下がっています。抜いたときに何が起きるかは、開けるまで分かりません ── それでも置いているのは、この一本だけは来た道を全部言えるからです。
贈り物には向きません。開けた先を保証できないものを、人に渡していただくわけにいかないからです。ご自分で開ける日を決めている方にだけお売りしています。
いまの液面は肩上です。2009年に正規の輸入元から入れて、以来この店の14℃の棚にあります。うちに来る前の十一年は、輸入元の倉庫の記録があります。
年で引けないもの
棚の十二本のうち四本は、ここに出ません。押せる年が無いからです。 理由は二つあって、同じではありません。
書けません(法律)
日本ワインではない国内製造ワインなので、収穫年を表示できません。果実酒等の製法品質表示基準(国税庁告示)で、収穫年・品種名・産地名を書けるのは日本ワインだけと決まっています。この店が調べていないのでも、造り手が黙っているのでもありません。
卓上 赤
表のラベルに「濃縮果汁使用」/720ml ¥1,320
卓上 白
表のラベルに「輸入ワイン使用」/720ml ¥1,210
日々
表のラベルに「濃縮果汁使用」/3L ¥3,080
書いていません(造り手)
複数の年を混ぜて造っているので、収穫年がありません(ノン・ヴィンテージ)。毎年同じ味にするための造り方で、法律が黙らせているのではなく、造り手が選んで書いていない一本です。
メゾン・クレール ブリュット
複数の年を混ぜてある一本/750ml ¥7,700
年の札は古い順で、味の順でも値段の順でもありません。そして年が書いてあることは、 中身の良し悪しとは関係がありません ── この店でいちばん売れているのは、右側の「日々」── 年を書けない三リットルです。
The shelf
棚
たな
十二本です。まず年の書いてある八本を、収穫年の古い順に。おすすめ順でも値段順でもありません ── 古いものが上にあるのは、次の節(目減り)がそこから始まるからで、上等という意味ではありません。
シャトー・ド・ラ・ピエール・グリーズ
Château de la Pierre Grise
ピエール・グリーズ/フランス・ボルドー/輸入ワイン
- 収穫年
- 1998
- 度数
- 12.5%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥19,800
- 液面
- 肩上
品種 メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン /産地名 ボルドー
輸入ワインなので、この告示ではなく原産国の規則で書かれています。日本の基準がかかるのは、国内で造ったものです。
二十八年前の一本で、液面は肩の上まで下がっています。抜いたときに何が起きるかは、開けるまで分かりません ── それでも置いているのは、この一本だけは来た道を全部言えるからです。
贈り物には向きません。開けた先を保証できないものを、人に渡していただくわけにいかないからです。ご自分で開ける日を決めている方にだけお売りしています。
歴2009年に正規の輸入元から入れて、以来この店の14℃の棚にあります。うちに来る前の十一年は、輸入元の倉庫の記録があります。
ヴィーニャ・デル・オルモ ティント
Viña del Olmo Tinto
ボデガス・オルモ/スペイン・リオハ/輸入ワイン
- 収穫年
- 2007
- 度数
- 13.5%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥8,800
- 液面
- 首もと
品種 テンプラニーリョ /産地名 リオハ
十九年前ですが、液面はほとんど下がっていません。年数と目減りが比例しないことの、いちばん分かりやすい一本です。
冷やして飲む一本ではありません。夏に常温で持ち歩くのも向きません。
歴2014年に蔵出しで入れました。十二年うちの棚にあって、液面は首もとのままです。
霜夜
しもよ
遠野川ヴィンヤード/岩手県遠野市/日本ワイン
- 収穫年
- 2015
- 度数
- 11.5%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥3,300
品種 ヤマ・ソーヴィニヨン(92%。単一品種名を書ける線(85%)の内側です。) /産地名 遠野
遠野市のぶどうを92%使い、遠野市で醸造しているので、産地名として「遠野」と書けます。
十一年前の日本ワインです。日本のぶどうだけで造って日本で瓶に詰めたものなので、年も品種も産地も書けます ── 書けることが三つ揃っている、この棚で唯一の古い一本です。
華やかなものをお探しの方には向きません。酸が高く、料理なしで飲むと痩せて感じます。
北窓
きたまど
苫別醸造/北海道余市町(ぶどう)/長野県東御市(醸造)/日本ワイン
- 収穫年
- 2019
- 度数
- 12.5%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥4,180
品種 シャルドネ(100%。) /産地名は書けません
日本ワインですが「余市」とは書けません。地名を産地名として書くには、その地域のぶどうを85%以上使い、かつその地域で醸造することが要ります。この一本は余市のぶどうを長野へ運んで醸しているので、ラベルは「北海道余市町産ぶどう使用/長野県東御市醸造」という書き方になります。
告示が「国産か輸入か」の話ではないことが、この一本だけで分かります。日本のぶどう100%で、年も品種も書けるのに、地名だけが書けません。
「余市のワイン」としてお探しの方には、そう名乗れないものとしてお渡しします。中身の話ではなく、ラベルの話です。
鶫
つぐみ
上山葡萄酒/山形県上山市/日本ワイン
- 収穫年
- 2021
- 度数
- 13.0%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥3,410
品種 マスカット・ベーリーA(85%。ちょうど線の上です(残りの15%はメルロ)。一%でも欠ければ、この品種名は書けません。) /産地名 上山
85%という数字が何なのかを、いちばんよく説明してくれる一本です。ラベルに品種がひとつ書いてあっても、十五%までは別の品種が入っていてかまいません。
樽の効いたものをお探しの方には向きません。
ポデーレ・ヴェントーゾ ビアンコ
Podere Ventoso Bianco
ポデーレ・ヴェントーゾ/イタリア・マルケ/輸入ワイン
- 収穫年
- 2022
- 度数
- 12.5%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥3,190
品種 ヴェルディッキオ /産地名 マルケ
四年前の白で、いま開けて過不足のない一本です。この棚でいちばん普通に美味しいものを選ぶなら、たぶんこれです。
熟成させる一本ではありません。寝かせても、いまより良くなる根拠がありません。
石垣
いしがき
苔口ぶどう酒/山梨県甲州市/日本ワイン
- 収穫年
- 2023
- 度数
- 12.0%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥2,860
品種 甲州(100%。) /産地名 甲州市
三年前の甲州です。年も品種も産地も書けて、値段もこの棚の真ん中。日本ワインの見本のような一本なので、最初の一本にお薦めしています。
赤をお探しの方には別のものを。冷やさずに飲むと、輪郭がぼけます。
白帆
しらほ
苔口ぶどう酒/山梨県甲州市/日本ワイン
- 収穫年
- 2024
- 度数
- 10.5%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥2,530
品種 デラウェア(100%。) /産地名 甲州市
二年前のもので、この棚でいちばん新しい年です。度数が低く、開けたその日に飲みきる向きの一本。
置いておく一本ではありません。来年になって良くなるものではないので、買った週に開けてください。
年の書いていない四本
上の並びには入れていません。年の古い順に並べた列に、年の無いものを足す場所が無いからです ── 並べ替えたのではなく、場所が無いほうが正確です。 三本は法律が書かせず、一本は造り手が書いていません。
卓上 赤
たくじょう あか
神田橋ワイン/東京都(醸造)/チリ(果汁)/国内製造ワイン
- 収穫年
- 書いてありません
- 度数
- 12.0%
- 容量
- 720ml
- 値段
- ¥1,320
品種名は書けません /産地名は書けません / 表のラベルに「濃縮果汁使用」
チリの濃縮果汁を日本で発酵させたものです。日本ワインではないので、収穫年も品種名も産地名も書けません ── 代わりに表のラベルに「濃縮果汁使用」と書く義務があります。隠している言葉ではなく、書かされている言葉です。
贈り物には向きません。安いからではなく、書ける言葉が少ないので、渡された方が何を飲んでいるのか分かりにくいからです。
卓上 白
たくじょう しろ
神田橋ワイン/東京都(醸造)/スペイン(ワイン)/国内製造ワイン
- 収穫年
- 書いてありません
- 度数
- 11.5%
- 容量
- 720ml
- 値段
- ¥1,210
品種名は書けません /産地名は書けません / 表のラベルに「輸入ワイン使用」
スペインのワインを輸入して、国産のぶどう酒と混ぜて瓶に詰めたものです。表のラベルには「輸入ワイン使用」と書いてあります。赤の「濃縮果汁使用」と書かされている言葉が違うのは、使ったものが違うからです。
冷蔵庫で一週間かけて飲む向きではありません。開けたら二、三日のうちに。
日々
ひび
神田橋ワイン/東京都(醸造)/チリ・アルゼンチン(果汁)/国内製造ワイン
- 収穫年
- 書いてありません
- 度数
- 12.0%
- 容量
- 3L
- 値段
- ¥3,080
品種名は書けません /産地名は書けません / 表のラベルに「濃縮果汁使用」
三リットルの箱入りで、この店でいちばん売れているのはこれです。袋が縮みながら出てくるので、注いだあとも中身が空気に触れません ── 開けてから一か月かけて飲むなら、瓶よりこちらのほうが保ちます。年の書けない一本が、いちばん売れています。
冷蔵庫の棚一段を占めます。置き場所を測ってからお買いください。あと、重いので坂は気をつけて。
メゾン・クレール ブリュット
Maison Clair Brut
メゾン・クレール/フランス・シャンパーニュ/輸入ワイン
- 収穫年
- 書いてありません
- 度数
- 12.0%
- 容量
- 750ml
- 値段
- ¥7,700
品種 シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ /産地名 シャンパーニュ
この一本だけ、年が無い理由が違います。書けないのではなく、造り手が年を作っていません ── 複数の年を混ぜて、毎年同じ味にするという造り方で、ノン・ヴィンテージと言います。法律が黙らせているのではなく、造り手が選んで書いていない一本です。
年を贈りたい方には向きません。年が無いことが、この造り手の主張だからです。
値段はすべて税込です。年・液面・来歴は、この店が確かめられた範囲のことだけを書いています ── 確かめられないことは書きません。そして年が書いてあるかどうかは、中身の良し悪しとは関係がありません。
What is missing
目減り
めべり
生まれ年のワインを贈りたい、というのがこの店でいちばん多いご相談です。だいたいお断りしているので、断る理由を先に書いておきます。なお、この装置が出す数字は「何年前か」の一つだけです ── 目減りは年数では分かりません。
The answer
1985年は、ありません。
棚は十二本しかないので、たいていの年はありません。そして探しません── 取り寄せも、お探しものも承っていません。理由は下に書いてあります。
年数で言えること
- 何年前か
- 引き算で出ます。この装置が出せる数字は、これひとつだけです。
- その年が棚にあるか
- 十二本しかないので、たいていありません。無い年は、無いとだけ答えます。
この装置が出す数字は、一つだけです(2026年からの引き算)。
年数では言えないこと
- どれだけ目減りしているか
- 年数では分かりません。液面が下がるのは時間ではなく保管で決まります ── この棚の十九年前の一本は首もとのままで、二十八年前の一本は肩の上まで下がっています。分かるのは、その瓶を見たときだけです。
- 美味しいかどうか
- 開けるまで分かりません。古い一本には当たり外れがあって、それは造り手の腕でも値段でもなく、その一本の三十年間の話です。
- いつが飲み頃か
- 言い切りません。飲み頃は好みの言い換えで、うちが決めることではないからです。
棚にある古い二本です。年数の多いほうが、減っているとはかぎりません。
シャトー・ド・ラ・ピエール・グリーズ
フランス・ボルドー/1998(28年前)
首もと肩上肩なかほどいまの液面は肩上。2009年に正規の輸入元から入れて、以来この店の14℃の棚にあります。うちに来る前の十一年は、輸入元の倉庫の記録があります。
ヴィーニャ・デル・オルモ ティント
スペイン・リオハ/2007(19年前)
首もと肩上肩なかほどいまの液面は首もと。2014年に蔵出しで入れました。十二年うちの棚にあって、液面は首もとのままです。
肩のなかほどより下がった一本は、うちでは売りません。返すか、値をつけずに置いておきます。どこまで下がったら中身が変わるのか、確かめた人の話を読んだことがないので、確かめられない線を自分で引いてあるだけです ── 法律にも業界の規格にもありません。
Before you decide
生まれ年のワインを探しています
この店が置く古い一本は、来た道を全部言える一本だけです。蔵出しか、正規の輸入元から入れて以来うちの棚にあったものに限ります。オークションや個人の方からは買いません ── どこで何年どう置かれていたか分からない一本は、値段のつけようがないからです。ですから「探してきます」とは言いません。探しません。
生まれ年のためにお金を使うなら、新しい年の良い一本を買って、その方と一緒に開けるほうが、たぶん喜ばれます。二十年前の一本は、二十年ぶんの不確かさも一緒に渡すことになります。それを承知で選ぶ方にだけ、うちは古い一本をお売りしています。
The law
法律で決まっていること
きまっていること
ワイン屋は税務署長の免許で商売をしていて、ラベルに書けることは国税庁の告示で決まっています。以下は当店の方針ではありません ── だから例外がつくれません。
- 一
収穫年を書けるのは、日本ワインだけです
国内で収穫したぶどうだけを原料に、国内で造ったものを「日本ワイン」と言います。輸入した濃縮果汁や輸入ワインを使って国内で造ったものは「国内製造ワイン」で、こちらには収穫年も品種名も産地名も書けません。しかも日本ワインなら自由というわけでもなく、収穫年を書くには同じ年のぶどうを85%以上、単一の品種名を書くにもその品種を85%以上使っていることが要ります。棚の四本に年が無いのは、この告示のためです(うち一本だけ理由が違います ── あちらは造り手が年を作っていません)。
果実酒等の製法品質表示基準(国税庁告示)/2018年10月30日から適用
- 二
「濃縮果汁使用」は、書かされている言葉です
日本ワインでない国内製造ワインは、表のラベルに「濃縮果汁使用」または「輸入ワイン使用」と表示しなければなりません。お客さまから「これは隠しているのか」と聞かれることがありますが、逆です ── 書かないと売れない言葉で、書いてある一本のほうが、法律の求めるとおりに書いてあります。この店の棚では、その三本がいちばんよく売れています。
果実酒等の製法品質表示基準(国税庁告示)
- 三
日本ワインでも、地名は条件つきです
地名を産地名としてラベルに書くには、その地域で収穫したぶどうを85%以上使い、かつその地域で醸造していることが要ります。棚の「北窓」は北海道余市町のぶどう100%の日本ワインですが、醸造が長野県なので「余市」とは書けません ── ラベルは「北海道余市町産ぶどう使用/長野県東御市醸造」という書き方になります。中身の話ではなく、書き方の話です。
果実酒等の製法品質表示基準(国税庁告示)
- 四
免許を出すのは税務署で、守っているのは酒税です
酒類販売業免許は保健所でも都道府県知事でもなく、税務署長が出します。要件にあるのは経営の基礎・場所・需給で、「良いワインを選べること」も「客に害を与えないこと」もありません。免許は販売場ごとに出るので、店ではなく場所に付きます。うちが持っているのは一般酒類小売業免許の一枚だけです ── だから飲んでくださる方と飲食店の方にはお売りできますが、酒屋さんには売れません(卸売は別の免許です)。通信販売の免許も持っていないので、発送もしません。
酒税法 第9条・第11条/第86条の9(酒類販売管理者)
- 五
十八歳で成人になっても、お酒は二十歳のままです
2022年4月に成年年齢は18歳になりましたが、飲酒の年齢は動いていません。同じ日に「未成年者飲酒禁止法」は「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」へ改称されました ── 中身を変えないために名前のほうを変えた法律です。罰せられるのは買った方ではなく、売った店です。年齢確認は見た目で判断せず、全員に伺います。
二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律
- 六
「酸化防止剤無添加」は、亜硫酸ゼロという意味ではありません
ワインに酸化防止剤(亜硫酸塩)を使ったときは、表示の義務があります。棚のほとんどに書いてあるのはそのためです。逆に「無添加」と書ける一本もありますが、亜硫酸は発酵の途中でも自然にできるので、無添加はゼロではありません。うちはこの言葉を売り文句に使いません ── 使うと、書いてあるほうの一本が悪いものに見えるからです。
食品表示法/食品表示基準(添加物の表示)
この六つは当店の方針ではなく、告示と法律です。だから例外がつくれません。そしてラベルに書けることと書けないことは、味の良し悪しとは何の関係もありません ── 年の書けない一本がいちばん売れている、というのが、この店の棚の実際です。
- 二十歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。
- 妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがあります。
- 飲酒運転は法律で禁止されています。
What we cannot do
できないこと
できないこと
方針ではなく、理由の一覧です。理由が先にあるので、例外がつくれません。
店内でお飲みいただくことはできません
飲食店営業許可を持っていないからです。グラスも椅子も置いていません。
酒屋さんには売れません
うちにあるのは一般酒類小売業免許だけで、卸売の免許ではありません。お売りできるのは、飲んでくださる方と、飲食店の方までです。坂の上と下のお店には、ここから運んでいます。
発送しません
通信販売の免許を持っていないので、都道府県をまたぐ発送ができません。都内の配達もしていません ── 十二本しかない店で配達を始めると、棚を見ずに買う方が増えて、この店でやっていることの意味がなくなるからです。
「飲み頃」を言い切りません
飲み頃は好みの言い換えです。いま開けて何が起きるかはお話ししますが、いつが頂点かは、うちが決めることではありません。
探しません
生まれ年や記念の年のお探しものはお受けしていません。オークションや個人の方から買うと、その一本が三十年どこでどう置かれていたのかを言えなくなります。来た道を全部言える一本だけを置く、という決め方をしています。なお、個人の方からの買い取りは古物商の許可が要るので、そもそもできません。
「当たり年」で値段を変えません
年によって値段を上げ下げすることはしていません。仕入れ値が違えば値段も違いますが、それは仕入れの話で、年が良かったからではありません。
How they are kept
置きかた
おきかた
六坪で、棚は四本。奥の二本が14℃の定温庫で、手前の二本は常温です。常温の棚に置いてあるのは、買ったその週に開けていただく一本だけにしています。
14℃
定温庫の設定です。ワインの保管は12〜15℃と言われますが、温度そのものより、上がったり下がったりしないことのほうが効くと考えています。
横に寝かせる
コルクの栓のものは横にしてあります。乾くと空気が通るからで、目減りの半分はここから始まります。スクリューキャップのものは立ててあります。
光を当てない
定温庫の扉は開けたときだけ点きます。店の照明も、棚の面には向けていません。
動かさない
古い一本は、売れるまで置き場所を変えません。並べ替えのために持ち上げると、澱が舞って、落ち着くまでに何週間かかかります。
- 宙
生駒 宙
いこま ひろし/店主/酒類販売管理者
輸入元の倉庫で八年、荷受けと在庫を見ていました。ワインの味よりも、どの瓶がどこに何年あったかを覚えているほうの人間です。この店が来歴の言えない一本を置かないのは、たぶんその癖です。
- 灯
海老沢 灯
えびさわ あかり/店番/棚の札
棚の札を書いています。「濃縮果汁使用」と書いてある一本を、そう書いてあるとおりに説明するのが仕事で、お客さまがいちばん驚くのもそこです。
顔写真はありません。二人とも架空の人物なので、実在する誰かの顔を借りてくるわけにいかない、というだけの理由です。いちばん上の一枚に人が写っていないのも同じ理由で、生成された顔をこの店の誰かとして貸さないために外してあります。代わりに糊あとに一字ずつ置いてあります。
Voices
お客さまの声
おきゃくさまのこえ
起きたことの記述だけです。どれくらい良かったかは書きません。一つめは、お断りした方のお話です。
父の生まれた年のワインを探していると言ったら、探しませんと言われました。理由を聞いたら、その一本が六十年どこにあったか言えないからだと。結局、父と一緒に開ける用に新しい年を一本買いました。
四十代・男性/2025年11月
千三百円の赤に「濃縮果汁使用」と書いてあるのを見て、隠さないんですかと聞いたら、書かないと売れない言葉ですと言われました。そういうものだと知らずに二十年飲んでいました。
六十代・女性/2026年2月
坂の上で店をやっています。仕入れに寄ると、その週に何が入ったかだけ教えてくれて、勧められたことがありません。こちらが決める仕事なので、そのほうが助かっています。
飲食店の方/2026年5月
Visiting
ご案内
ごあんない
店頭だけの商売です。カートもオンラインの注文もありません ── ホームページで売買をしていないので、特定商取引法に基づく表示のページも持っていません。付けるなら、その一枚と、通信販売の免許を先に用意することになります。
- 住所
- 東京都新宿区荒木町 8-3
- 交通
- 東京メトロ丸ノ内線 四谷三丁目駅 2番出口より徒歩4分/都営新宿線 曙橋駅より徒歩5分
- 平日
- 13:00 – 21:00(17時以降は混みます)
- 土曜
- 12:00 – 20:00(夕方で閉めます)
- 定休
- 日曜・月曜(祝日は不定期に開けます)
- 電話
- 03-3357-0819
- メール
- tana@meberi.example
- お会計
- 現金・各種クレジットカード・電子マネー
- 免許
- 四谷税務署長 一般酒類小売業免許 四酒販 第0224号
Before you come
お越しの前に、三つ
- 1
発送はしていません。通信販売の免許が無いので、都道府県をまたいで送ることができません。都内の配達もしていません。
- 2
身分証をご用意ください。年齢確認は見た目で判断せず、全員に伺います。
- 3
生まれ年のお探しものはお受けしていません。棚にある古い一本は二本だけで、いちばん古いのが28年前のものです。
二十歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。